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出会いはそうさ宝物

いつだってずっと忘れないでそうさ君と僕らならいつまでも

理想のおたくになりたかった

自担がツアーの途中で忽然と姿を消して10日になる。

 

一般にジャニーズJr.が姿を消したら、それなりに覚悟を決めろという暗黙のルールがある。自担のいないステージをまだ見ていないからか、それほどショックは受けていないが、心に大きな穴が空いていてそこから「なんで」「どうして」って言葉がたびたび漏れていく。

 

学生最後の試験だって上の空で、わたしは大学を卒業できるのかな なんてふと考えるけどすぐ数秒後にとっても切なくなる。この世界に、アイドルの自担はもういないのかもしれない。わたしはなんのために今まで全力で生きていたのだろう。よくわからない。

 

 

 

去年の今頃、わたしは自分の中で「理想の自担」を描いていて、それと現実の自担とのギャップに苦しんでいることがわかった。わかってからは、素直に「こうしてほしい」「ああしたほうがいい」「これの方がかっこいい」って手紙にかけるようになって、少し救われた。

 

そして最近、どうやら自分自身に対しても「理想のおたく」像を描いているらしいことがわかった。わたしは気づかないところで、「理想のおたくちゃんはそんなことしない」「理想のおたくちゃんはそんなこと言わない」って自分の中の風紀委員に閉じ込められて、結果的に疲れてしまった。

 

疲れると人間は全てを放棄したくなるみたいで、もう、ぜんぶやめよう。とおもいきったのが去年のクリスマスだ。

 

わたしの中の風紀委員は、ことあるごとに「自担に手紙を書かないなんて」「現場に行かないなんて」「自担を心から純粋に応援できないなんて」ってすごい勢いで右ストレートをかましてくる。

ボコボコになったわたしは、義務感と、自担に会いたい気持ちで立ち上がって新幹線に乗り込む。「自分のために団扇を持つなんて偉そう!自担のため、でしょ?」「自担のために団扇を持つんだから、文句なんて厳禁!」「干された?カンペ持ってるだけで、汚い人間!」「恥を知りなさいよ」ってまくし立てられて、そうだよね、ごめん。ってまた立ち上がる。

 

風紀委員の言ってることは全部全部正しい。だってそれが理想のおたくなんだもん。でも、わたしはやっぱり人間だからダメなところもある。認めてよ!って抗議したって険しい顔ばかりしてる。

けっきょくだめなところは同担のともだちにぜんぶ聞いてもらった。同担のともだちはそれこそ理想のおたくが多い。すごくいいともだちに恵まれている自覚はあるので、感謝しながら生きている。ほんとはこんなことしてほしい、あんなことしてほしい。でもいやだよね、このままでいてほしい、とか途方もない話を永遠と聞いてもらって、風紀委員に「わたし頑張るよ!」って報告しにいく。

 

がんばって雑誌のアンケートもたくさん書くよ。ブログもこまめに更新するし、レポも迅速に正確に流すよ。ファンはたくさんいたほうがいいし、マイナスなことは言わないよ。

 

 

 

最初の頃は、ほんとうにファンが増えて欲しかった。自担くんかっこいいねってたくさんの人に言われたかった。それこそ干されの極みで、狭い世界から救ってあげたくて頑張れ頑張れって自分なりに必死で応援した。

自担が雑誌に載りたがってるのを知ったとき、絶対に載せてあげなきゃいけないと思って、目当てもいない雑誌を買い込んでアンケートを出した。『この雑誌を買った理由は?』「アンケートを出すため」って毎月毎月アンケートを真っ黒に埋めて、1年半過ごした。そうしたら突然次号予告の欄にぽっと自担の名前が出ていて、安心してへらへらと座り込んでしまった。

 

 

 

そうしたらいつのまにか自担には数え切れないくらいのファンがついていて、胸を張って堂々とステージに立っていた。

 

しあわせだね。

 

風紀委員が用意してくれた6文字をそのまま言葉にした。けど、声にならなかった。なみだがとまらないわたしをみてまた「しっかりしなよ」って支えてくれる風紀委員が、呆れながら笑ってた。

 

理想のおたくになるのは、けっこうつらい。もうこんなの御免だよってわたしは逃げ出した。逃げ出した暁には、すきなことしてやるんだ。もうこれだけファンがいれば私なんかがアンケート書かなくたって平気だよねって自分のためだけに遊んだ。

 

 

 

そして、自担は忽然と姿を消してしまった。

 

 

 

いま、風紀委員ちゃんが険しい顔で「だから言ったでしょ」って怒ってる。わたしは、ごめんなさい、でもすごくたのしかったの。もうしないから許して?って頼んでみるけど「もう無理だよ、考えればわかるでしょ」って突き放されてしまう。

 

 

 

いつか この日を振り返ったなら 思い出すのさ

ガムシャラな日々こそが宝 ありがとう

 

 

 自担が最後のステージでおどった曲が沁みて、心の穴がどんどん大きくなる。このままわたし消えちゃうのかな、っておもって、可笑しくなる。

 

 

わたしは理想のおたくに、なれませんでした。